境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害とは

 境界性パーソナリティ障害とは、感情をコントロールすることが苦手で、人間関係のトラブルを起こしやすく、自傷行為に及んでしまうこともある精神疾患です。
 境界性パーソナリティ障害の患者は増加傾向にあり、この障害への正しい理解と適切な対処が急務となっています。本サイトでは、境界性パーソナリティ障害の症状や治療について紹介していきます。

境界性パーソナリティ障害は回復しやすい病気

 「境界性パーソナリティ障害はパーソナリティ(人格)の障害だから、一生治らない」というのは誤解です。
 治らない病気ではありません。治療法もあります。回復して自立した生活をおくることもできます。
 地道な努力や治療によって、多くの人が回復しています。

パーソナリティ(人格)の障害ではありません

 境界性パーソナリティ障害は、パーソナリティ(人格)という言葉のために誤解が生まれやすい病気です。
 「性格が悪い病気だ」「人格の障害だから治らない」といったものは全て誤解です。

 

 パーソナリティとは、生まれ持った性質をもとに成長とともに形作られていくもので、生涯を通して変化しにくいものです。
 しかし、「パーソナリティ障害」とは、人生の一時期においてのことを指します。自分の生活環境に上手く適応できないことが”一時期”続くものです。人格の障害ではありません。必ずしも一生続くものではなく、治療も可能です。

境界性パーソナリティ障害の特徴

 境界性パーソナリティ障害とは、パーソナリティと関連がある、いくつかの精神症状が集まったものです。
 症状は人によって様々ですが、主に次のような症状が見られます。

感情と行動が不安定

 感情のぶれが激しく、急に怒ったり、自傷行為に及んだりします。その感情や行動の激しさに、周囲の人が巻き込まれることも多いです。

対人関係が不安定。相手が悪いと思い込む

 感情と行動が不安定なことにより、対人関係も悪くなります。対人関係がうまくいかないのは、相手に対する思い込みが強いことも原因になっている場合もあります。あれほど絶賛していた人を急にこき下ろしたり、反応が両極端になるのも特徴です。
 患者本人には自分が病気だという自覚が乏しく、相手が悪い、周りが悪いと思い込む傾向にあります。

見捨てられ不安が強い

 周囲の人から見捨てられることを極度に恐れます。嫌われないように異常な努力をします。

衝動的な行動を繰り返す

 薬物やアルコール、セックス依存、過食、危険運転など衝動的な行動を繰り返したりします。

境界性パーソナリティ障害の患者数

 境界性パーソナリティ障害の性格な発生率は分かっていませんが、参考となる調査結果がいくつか発表されています。

  • 境界性パーソナリティ障害の発生頻度→0.7〜2%
  • 最新の調査では5.9%が境界性パーソナリティ障害の診断基準に該当した。(アメリカの調査)
  • 最近の調査では11歳の子供の3.2%が境界性パーソナリティ障害の診断基準に該当した。(イギリスの調査)
  • 精神科の患者の約10%が境界性パーソナリティ障害がある。
  • 一般人口の2%、精神科患者の11%、精神科入院患者の19%が境界性パーソナリティ障害である。(アメリカのデータ)
  • 18〜30歳の女性のうつ病患者のうち、55%が境界性パーソナリティ障害である。
  • 境界性パーソナリティ障害は高齢になるほど少ない。地方より都市部に多い。
  • 男女比は1:4
  • 自殺企図で精神科を受診する人のうち、56%が境界性パーソナリティ障害である。

 これらのデータが示すように決して関係のない病気とはいえません。自分が該当しなくても、家族や恋人、友人、同僚などが境界性パーソナリティ障害である可能性は十分考えられるのです。しかし、前述したとおり、治らない疾患ではありません。

境界性パーソナリティ障害の治療

 境界性パーソナリティ障害の治療は、近年、急速に発展しています。数々のデータやノウハウが蓄積されており、どういうプロセスを経てどういう治療をすれば回復へ有効に働くかが、わかってきています。境界性パーソナリティ障害だけでなくあらゆる病気は早期発見・早期治療が大切です。境界性パーソナリティ障害の症状がみられると思ったら、できるだけ早く専門医で受診しましょう。

なぜ「境界性」という言葉が使われるのか

 1938年、アメリカの精神分析家アドルフスターンが、統合失調症と不安障害のどちらともつかない症状を境界性(ボーダーライン)と呼んだことが境界性パーソナリティ障害という名前の発端とされています。当時、統合失調症と不安障害のどちらともつかない患者に、統合失調症や不安障害に対する治療を施しても、改善するどころか悪化してしまうというケースが数多く見られました。
 その後もこういった問題は続き、その症状は「境界例」という診断がつくようになりました。
 20世紀後半になると、「境界例」はパーソナリティ障害の仲間に位置づけられるようになります。その時に、「境界例」の境界という言葉が引き継がれ、境界性パーソナリティ障害という名前になりました。