境界性パーソナリティ障害と併発しやすい精神疾患

境界性パーソナリティ障害と併発しやすい精神疾患

 境界性パーソナリティ障害と併発しやすい精神疾患を紹介します。診断の際はこれらの疾患との識別も重要になってきます。

 

 境界性パーソナリティ障害の不安定な情動や空虚感抑うつといった症状が様々な精神疾患を引き起こしたり、境界性パーソナリティ障害の原因となる不安定な愛着や不安体験がもとで別の精神疾患を引き起こしたりします。

 

うつ病

 境界性パーソナリティ障害では抑うつ感が現れることが多く、自分なんて取るにとらない存在だという自己否定感に苛まれることも少なくありません。その結果、うつ病に発展してしまうこともあります。
 また、うつ病のなかでもディスチミア親和型うつ病が多く現れる傾向にあります。ディスチミアとは気分変調症のことで、気分の悪い日が続きますが、良い日もあるというものです。ディスチミア親和型うつ病というと、いわゆる新型うつのようなことを指します。例えば仕事では気分が落ち込むが、遊びや趣味なら気分が晴れて楽しめるというものです。一見、ただのワガママのようにみえますが、その裏には、境界性パーソナリティ障害でみられるような激しい精神の振れがあるともいえます。

 

ADHD

 境界性パーソナリティ障害の人は、幼い頃からADHDであったという人が少なくありません。
 ADHDの持つ多動性、衝動性、不注意といった特性により、親から縛られて生活をしてきました。そのため、基本的安心感や自己肯定感が欠如して、見捨てられ不安二曲思考などといった境界性パーソナリティ障害の特徴的な精神の不安定さが現れると考えられています。

 

アルコール依存症

 幼いころ愛情を受けなかったことによって、大人になってからそれを満たすようにアルコールに浸り、アルコール依存症になってしまうことがあります。

 

過食症、拒食症、摂食障害

 幼いころに愛情を十分注がれてこなかったことによって、大人になってからそれを満たすように、過食にはしるようになることがあります。さらに、食べ過ぎた自責の念にかられ今度は拒食症になってしまうこともあります。そして、過食と拒食を繰り返す、本格的な摂食障害に進行してしまうこともあります。

 

PTSD

 PTSD(心的外傷後ストレス障害)が、境界性パーソナリティ障害の原因になることもあります。幼いころに虐待を受けた等の過去に心に受けた傷(トラウマ)を引きずって、境界性パーソナリティ障害の見捨てられ不安などの症状があらわれることがあります。同時にPTSDの症状としてフラッシュバックや回避行動が現れたりします。

 

統合失調症

 境界性パーソナリティ障害で現れがちな被害妄想は、統合失調症の症状とよく似ています。境界性パーソナリティ障害の場合は一過性で治ることが多いですが、統合失調症の場合は簡単には治らないことがほとんどで、ここがこの2つの疾患による被害妄想の相違点です。

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