境界性パーソナリティ障害の克服に向けて

境界性パーソナリティ障害の克服

 ある境界性パーソナリティ障害の克服の手記を紹介します。

 

 境界性パーソナリティ障害とは、感情の起伏が激しかったり、情緒不安定で怒りを抑えることができない症状を持つ人のことを言います。また、現実が冷静に理解できないこともあり、若い女性に見られる症状だと言われています。そんな、境界性パーソナリティ障害に、私も悩んでいました。

 

 病気の診断をされたのは、18歳の時で、母親のいる実家から逃げ出した時です。元々、父はおらず、ずっと母と娘で生活してきました。しかし、母は気性が荒い性格だったので、喧嘩をすることが多く、一緒に買い物に行ったり、遊びに行くということがあまりありませんでした。そんな出来事が原因で、私は次第に情緒不安定になり、学校へもあまり行かなくなったのです。そして、病院に行くと上記のような診断を受けました。最初は、そのような病気は知りませんでした。よって、治療と言われても、あまり乗り気にはなれませんでした。しかし、病院の先生の励ましや母から自立したいという思いから、病気を克服したいと徐々に思えるようになりました。そこで、まずは2種類の治療を行いました。

 

 まず1つ目は、薬の投与です。例えば、不安になったり、落ち込みが激しい、怒りが収まらないなどの症状に対して、抗うつ剤や抗不安薬を服用しました。しかし、薬は一時的な効果しかないため、もう1つの治療である病院の先生やカウンセラーと一緒に行動療法を行いました。特に、この病気は過去の母との経験が原因であるとされているので、母との辛い出来事にも正面から向き合わなければいけませんでした。治療中は、時に病院の先生やカウンセラーのことを恐怖に感じることもありました。しかし、2年以上に渡って根気強く治療を続けていきました。

 

 すると、次第に精神的に穏やかになることができ、これまでどこかに出掛けたりすることがなかったのですが、一人で買い物に行けるようになりました。さらには、アルバイトを始めることもでき、ケーキ屋さんで販売員として働くようになりました。そこで、社会経験を積んだことが良かったのか、世の中にはいろんな人がいると理解することができるようになりました。お客様に怒られても不安定になることもなく、今は治療を終え、ケーキ屋さんで正社員を目指して頑張っています。

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