空虚感
境界性パーソナリティ障害には、空虚感にさいなまれる症状が見られます。空虚感は自分でも他人からも気づきにくいのですが、境界性パーソナリティ障害の特徴的な症状のひとつです。空虚感は次のような感情や行動にあらわれます。
強い虚無感
境界性パーソナリティ障害の人の中には、「生きていてもしかたない」「自分が自分でいることに違和感を感じる」という虚無感や「自分には何もない」などの思いを抱いている人がいます。特に激しい感情が過ぎ去った後や対人関係が破綻してしまったあとに、強い虚無感におそわれます。
自分の感情が爆発することを恐れ、それを押さえつけることから空しさが生じることもあります。
また、今まで何度も”見捨てられた”経験から、どうせ次もまた見捨てられるという諦めにも似た気持ちを抱くこともあります。
抑うつ感
まるで自分が存在がしていないと感じる虚無感は、抑うつ感(抑うつ気分)を生み出します。何をしても楽しくなく、生きる幸せを感じにくいのです。憤怒することもあれば激しく落ち込むこともある、この極端さも境界性パーソナリティ障害の特徴です。
対人関係の破綻
「自分には何もない」「確かな自分がない」という感覚は対人関係の破綻をも引き起こします。
慢性的な空虚感を埋め合わせるために、相手に密着することを過剰に求めます。それが叶わないと、激しい怒りまたは抑うつ感が生じます。このため、対人関係は不安定になります。
うつ病の合併も
空虚感にさいまなれるなか、「自分の居場所がない」と訴えることもあります。こういった感覚は、うつ病の症状のひとつでもあります。うつ病を合併しているかどうかの診断が必要になってきます。
→うつ病の診断、症状、原因、治療
自信と自己否定感が同居する
虚無感、抑うつ感、空虚感といった自己否定感を隠すために、補おうと自信を装ったり、強気に振舞ったりしてしまいます。そうして、心の奥底の自己否定感をかろうじて、取り繕っているのです。
何かちょっとでも他人の非を見つけると、優越に浸って見下したりして、自分の優位が崩れないような体勢をとります。自分の弱さを見られないよう必死になるのです。一方、そういった優位な体勢が崩れると、急に自分を責めてしまったりします。
身体症状
空しさに苛まれ、行動する気がなくなると、倦怠感というかたちで身体症状があらわれます。見捨てられ不安が強い場合は、血液中の酸素が過剰になって、過換気症候群を起すことがあります。
原因に考えられるのは”基本的安心感”の欠如
空虚感の原因には子供のころの環境的要因が関係しています。親から安心感を得られなかったことで、大人になっても不安を抱えやすくなってしまうのです。
=>境界性パーソナリティ障害の原因
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