境界性パーソナリティ障害と離婚

妻の治療に専念するために会社を辞めた

一目惚れした妻の境界性パーソナリティー障害を治そうと結婚を決意した

 結婚して間もない頃、妻に境界線パーソナリティ障害の症状が現れました。その経験を通じて、これからの人生についても深く考えさせられました。
 妻は現在31歳、幼い頃に母親から精神的虐待を受けていたと聞いています。18歳の頃に拒食症、うつ病を発症し、その後、境界線パーソナリティ障害の症状が現れ始めたそうです。(参考:境界性パーソナリティ障害と併発しやすい精神疾患)妻との結婚のきっかけは、私の一目惚れでした。交際中はお互い離れて生活していたので「会えなくて寂しい」という妻の姿が可愛くて仕方ありませんでした。そして、私の力で妻を治そうと決意し、結婚を決めました。

 

私の仕事のせいにして自殺未遂を起こす妻に、離婚も考えた

 妻と結婚して1か月程経った時に問題は発生しました。妻の症状は孤独感、空虚感、過食、自殺行為、記憶喪失など様々なのですが、特に孤独感に襲われた時の妻はどう扱って良いのか解らなくなります。
 私の仕事は2交代制で、一か月の半分は夜勤があるのですが、妻は一人で夜を過ごすことに恐怖を感じるようでした。しかし、私も長く勤めてきた会社に迷惑をかけるわけにはいきません。

 

 ある日、夜勤中に妻から大量のメールが送られてきました。

 

「私は貴方にとって邪魔な存在なので消えます」
「私を孤独にして平気なの?」
「これ以上独りは耐えれないので消えます」

 

 など不安にさせるメッセージばかりです。

 

 急いで帰宅すると妻は手首を切り、リビングに倒れていました。床には大量の睡眠薬が転がっていて、自殺行為をしたのだと確信しました。幸い、病院に早く着くことができたので、命に別状はありませんでした。

 

 しかし、私が仕事をするから自殺行為をする妻に対し、怒りと呆れの感情が湧き、離婚を考えてしまいました。これから先、妻を支えていけるかどうか自信がなくなり、人生をリセットしたくなりました。でも、自分が妻を選び、結婚したことを思い出し、妻の支えになれるよう心の広い人間になろうとも考えました。

 

妻の治療のために会社を辞めた

 妻の症状が悪化した時は、行きつけの精神科に連れていくようにしました。
 病院では注射を打たれ、ぼーっとする妻にカウンセラーがなだめるといった処置が施されます。それで妻の症状は和らぐようでした。
 病院での治療は薬を服用するだけの方法でした。当時、妻が飲んでいた薬は、1日に10錠を超えていたのではないでしょうか。

 

 妻の為に私が出来ること。それは「傍にいて支えてあげること」、「妻を管理すること」の2つです。
 妻の病気を改善する為に私は会社を辞めました。そして常に妻の傍にいることを選びました。
 常に一緒にいるわけですから急に奇声をあげ、過食を始めたりする姿を見ることは日常茶飯事です。その姿を見る度、悲しくなりましたが「妻を捨てると、この先、必ず後悔する」と言い聞かせ、必死に支えました。

 

 また、私は医師と相談し、薬をだんだんに減らしていくよう、方針を立てました。
 初めは苦しそうな妻でしたが心を落ち着かせる為、夜は妻が眠るまで会話をし続けました。1週間眠らない日々もありました。
 薬は徐々に抜けていき、最終的に自力で眠るようになった妻を見たとき、心から嬉しいと感じました。

 

一緒に幸せになろうという思いが、完治につながった

 現在、妻は境界線パーソナリティ障害を克服し、前向きに強く生きています。
 何度も離婚を考えましたが、妻との関係は良好です。現在、妻のお腹には新しい命が宿っており、生き甲斐を感じる日々を送っています。
 妻と結婚して病気と向き合い、学んだことは多くあります。
 どんなに症状が酷くても、自分の人生まで壊れそうになったとしても、諦めずに病気とまっすぐ向き合うことで明るい未来はやってくると確信しています。
 病気で悩んでいる本人が一番苦しいのだと思います。自分のコントロールが出来ず、見放される恐怖と隣合わせで生きるなんて悲しいことです。それなら自分が傍にいようと思えるようになり、今回のことで自分自身成長できたような気がします。
 私は多くの患者を救えるような器はありません。ただ、大切な人は意地でも助けようという強い意志を持つことで、妻を見捨てることが出来なかったのだと思います。
 境界線パーソナリティ障害とは完治しにくい病気と聞きますが、環境を整えたり、人脈を作ることが完治への近道だと思います。
 不安や悲しみを消し去ることはできませんが、それ以上に幸せという感情を埋め込むことで改善に向かうのではないのでしょうか。

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